マラソン強豪国の強さの秘密はテフ?

Young runner

”裸足のランナーアベベ”という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?アベベ・ビキラ1960年ローマ五輪、1964年東京五輪と2大会連続で金メダルを獲得したエチオピア代表のマラソン選手です。サハラ以南のアフリカ人として、オリンピックで初めてのゴールドメダリストでエチオピアの英雄。エチオピアは初出場した1956年のメルボルン五輪以来、多くのメダルを獲得しています。

アスリートは鉄分が不足しがち

強さの秘密の一つとして主食のテフが挙げられます。酸素を運ぶ赤血球の中にあるヘモグロビンを作る上で欠かせないのが鉄分なのですが、その鉄をテフは豊富に含んでいます。とある研究で、発展途上国の女性アスリートのうち、貧血がないのはエチオピアの選手だけで、それはテフの摂取が要因と言えるというレポートもあるほど。エチオピア人ランナー101人に行った調査では鉄分不足だった選手はわずか3%だったという報告もあります。
アスリートは、運動中に骨格筋が大量の酸素を必要とすることから、血中のヘモグロビン量の低下はパフォーマンスの低下につながり、特に有酸素的にエネルギーを生み出す持久系アスリートは貧血の影響を強く受けるため、貧血予防を心がける必要があります。
激しいトレーニングによる消化管出血、汗によって鉄が流れたり、ジャンプなどの衝撃による溶血、筋肉の損傷で体内鉄を失いやすいのです。さらに、減量のための食事制限や、ハードなトレーニングによる食欲不振などで食事量が少なくなることがしばしば。ただでさえ鉄分が不足しがちな現代の食生活が加わるので、アスリートは高い貧血のリスクを抱えてると言えます。アスリートの鉄分推奨摂取量は通常に比べ70%増やさなければならないとする研究報告もあるほど。
そんな中、エチオピアの選手は主食であるテフを日常的に摂取していることから、有酸素運動に適した体作りを食生活からも作っているのです。

テフによる鉄分摂取の効果は?

2015年、イギリスの研究グループは、鉄分が不足しているアスリートに鉄分を摂取させると持久力に変化があるかの調査を行いました。結果、「鉄分を加えることで、有酸素能力を改善させる」と結論を出しています。
また、同じイギリスのマンチェスターメトロポリタン大学でも調査が行われています。11人の女性ランナーに小麦のパンの代わりにテフパンを6週間摂取するというものでした。当初、1日あたりの鉄摂取量平均が10.7 mgで鉄分不足の状態でしたが、6週間後1日あたりの鉄摂取量を平均18.5 mg /日に増えたという結果に。

鉄分だけじゃないアスリート視点で見たテフの魅力

体のたんぱく質を構成する20種類のアミノ酸の中でも、スポーツを快適に続けられるようなコンディションの維持に必要なのは、分岐鎖アミノ酸(BCAA)。BCAAは体内で作ることができないため、体外からの補給が欠かせません。そんなBCAAのバランスがよいとテフは言われています。

こんなアスリートに嬉しい栄養素を含んでいるテフが主食であることが、エチオピアのランナーが世界で活躍する大きな理由なのかもしれません。

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